福島県双葉町に計画された、約2,300冊の蔵書によるライブラリー。BACHでは、ライブラリーのコンセプト設計、選書、テーマ分類、本棚構成に加え、読書体験を生み出す空間全体のディレクションを担当しました。

過去の出来事や記憶を、ひとつの「大きな物語」として閉じるのではなく、これから続く旅や暮らしへとひらいていくこと。その考えをもとに、ライブラリー全体を構成しています。蔵書は、「いきる」「つくる」「かたる」「まなざす」「めぐる」「つなぐ」という6つのテーマによって分類しました。それぞれのテーマは独立しながらも、互いにゆるやかに関係し合い、読む人の関心が一冊から次の一冊へと循環していくように設計しています。

空間には、全長30メートルほどにわたって続く本棚を設けました。長く連なる本棚を歩きながら、テーマを横断し、偶然の出会いに導かれていくような読書体験を生み出しています。また、一冊一冊の本と特別に向き合うための壁面本棚「静けさの棚」を設置。選ばれた本が余白をもって置かれ、手に取る前の沈黙や、ページを開くまでの時間そのものを大切にした場所です。

本は、単なる情報の蓄積ではありません。ひとりひとりの視点や経験を「小さな確かさ」として尊重し、記憶の断片を共有しながら、声なき声との対話を生み出す媒介でもあります。
生成AIの時代に、あえて紙の本という他者とゆっくり向き合い、自身の内側をのぞきこむこと。「ふたばの本棚」は、そんな読書のスイッチを静かに入れる場所として構想されました。

FUTATABI FUTABA FUKUSHIMA
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